538: 名無しさん@おーぷん 21/12/24(金)17:11:16 ID:Lf.jn.L1
近所にいわゆる道路族がいた。
道路含めた路上でボール遊びとかチャリ爆走とか、親も注意しないどころか路駐した上で飲み物買って雑談してたりとか。

まあウチの近所にいたのもそんな感じで、住宅街の一角をたまり場にしてギャーギャー遊んでいたグループがいた。
幸い?うちは通勤路から外れていたから被害はあまり無かったんだけど、通勤通学するのにその道を通らなきゃいけない人は、
「夕方~夜の帰宅時間になっても路上でバカスカやってるし、住宅街だから薄暗くて本当に注意して運転しなければ事故りそうで怖い」
と、
「大変迷惑だ」
と言っていた。
事故らなくても、停車中の車をめがけてボールぶつけられて破損したり、注意したら子は逆ギレ……道路族がたまっている近くの関係無い人の家も、騒音と破損と汚損(ゴミのポイ捨てだけでなく、汚い話だけど立ちションとかしてく子とかその親もいたとか)の被害が凄まじく、引っ越しっていった人もいたとか。

道路族の親の内、何人かは町内会の集まりにもたまーに顔出している人で、顔見知り。
悪くも良くも子供には甘い感じ。
『うちの子はやんちゃなのね~ウフフ♪』
↑本当にこんな雰囲気で、
(言っても駄目で通じないパターンだ)
と思って、距離取って付き合っていた。

539: 名無しさん@おーぷん 21/12/24(金)17:11:46 ID:Lf.jn.L1
ある日、いつもの様に道路で遊び(迷惑行為)をしていた子の一人が、車に轢かれた。

仮にA君とするけど、A君は当時小学生ながらプリン頭で典型的なヤンチャ()坊主。
町内会の催しなどで顔も知ってるし、話したこともある。
生意気だけどその分、人懐っこい所もあった子だった。
子供単体だけだと、道路族の件を差し引けばそこまで悪印象は無い子だった。




轢いたのは、『え?何でそんな所に住んでいる人がここ通ってるの?』って思う程度には遠方に住んでいた人らしく。
「抜け道を通ろうとして迷い込んだのかも知れない」
というのは夫の推測。
轢いた後は一旦逃げたけど、
「やはり怖くなった」
と出頭したという。

A君はかなり重症で、タイヤで踏まれた所や当たり所が悪かったのもあり、命は助かったものの、車椅子が必要な身体障害者になってしまった。

轢いた犯人は生活保護を受けており、
「反省してるし賠償の気持ちはあるがお金は無い」
という。
だから交通刑務所に入るから、でも子供がいるから難しいと、結局刑務所にすら入らなかったという。
A家は怒ってかなり揉めたらしいが、結局は無い物は無く、無い所からは取れないということになり、その内、犯人とは連絡不通になって逃げられたという。
犯人と犯人の親族?らしき人がA家に押しかけ、
「子供から母親(犯人)を奪うのかこのヤロー!!」
って怒鳴っているのを聞いた人もいた。
A家は結局、ロクに賠償金も無いまま、泣き寝入りする羽目になった。

540: 名無しさん@おーぷん 21/12/24(金)17:12:41 ID:Lf.jn.L1
A家はその後、A家旦那とも離婚した。
元々放任主義が過ぎるA母の育児方針には嫌気が差しており、何度も注意したがA母もA君も改善されなかった為、
「だから俺はあんだけ注意してたんだよ!」
ってことでA母とも険悪になり、家を出ていったそうだ。

A君は事故前は元気過ぎる子だったが、事故になってからは明らかに表情と雰囲気が暗くなった。
足は動かせず、手も一部不自由だからゲームもスマホもあまり出来ない。
事故になって人が変わったからか、Aと仲良くしていたグループも一斉に距離を置いて、別の路上に河岸を変えて遊ぶ様になった。

ある日、うちの夫がいった。
「A君はあの(事故の)時、死んでいればよかったかもな」
それを聞いてあまりの言いざまに私は怒ったけど、夫の、
「もし俺が事故を起こしていたらこの家には住めないだろう。
仕事でも車を使うが人を轢いた後だと運転など出来る気がしない、恐らく今の仕事も退職せざるをえなくなる。
そうしたら今まで築いてきた生活は全て台無しになってしまう」
「A君を轢いた犯人が逃げられたのは無敵の人だからで、失うものが無いからだ。
俺達みたいな普通の生活してたら、人身事故を起こした時点で終わる可能性がある。
その事故が、路上を走り回って車にボールをぶつけたり取り囲んでドアを蹴飛ばす様な連中を轢いた結果だとしたらやりきれないものがある。
今まで必死に築いてきた生活があんな連中(A家)の為に壊されて君は我慢出来るのか?
納得できるのか?」

と。

夫の言い分を聞いて、私は咄嗟に反論出来なかった。
(もし住んでいる区画とか職場が少し違えば、道路族がたまり場にしていた所は夫の通勤路で、事故を起こしていたのが夫だったかも知れない)
と思うと改めてぞっとしてしまった。
そんな自分が恐ろしかった。

541: 名無しさん@おーぷん 21/12/24(金)17:13:00 ID:Lf.jn.L1
それから数年経った。
A母子は今でもA家に住んでおり、たまに近所をA君の車椅子を押して歩いているのを見かける。
「こうでもしないと中々(A君が)出かけたがらないから、なるべく外の空気を吸わせてあげる様にしてるのよ」
とのこと。
以前は自分から話しかけてきたA君だが、もう当時の面影は無く、A母と話している間は下を向いて暗い表情のままだった。

うちの近所は坂もちょこちょこあり、体は大きくなるA君を載せた車椅子を押すのも辛いだろう。
介護に懸命な姿勢には思う所あるけど、
(やはり迷惑行為を放置していた責任もあって、もし注意して止めさせていたらこんなことにはならなかったのでは?)
と、“自業自得” という言葉が思い浮かんでしまい、やりきれなくなる。

今日、A母子を見かけた。
A君で分かったけど、A母はめっきり老け込んでおり、パッと見だと分からないぐらいだった。
避けようかと思ったけど、A母から話しかけられて対応した。
「今日はクリスマスだから、色々買ってきた」
という。
「夜に食べる」
んだとか。
髪だけは以前と変わらずくすんだプリン色のA君は、相変わらず下を向いて押し黙ったまま。
(あの雰囲気でケーキやチキンなんか食べても美味しく無いだろうに)
と思うのは余計なお世話なんだろうか。

A母子を見かけて、同情する思いと、『でも自業自得だよね…』って思ってしまう残酷な気持ちがごっちゃになり、クリスマスなのにものすごくどんよりしているから吐き出し。
A家も、A家を見捨てた道路族グループも、A君をひいた犯人も、そして他人面して残酷なこと言ってる私達も含めて、神経が分からないんだろう。



THE ROAD TO SOMEWHERE
THE ROAD TO SOMEWHERE