310: 名無しさん@おーぷん 20/09/24(木)10:40:43 ID:k2.1z.L1
実に因果応報な目にあって反省している。

昔、
『地方の田舎では車がないと生活できない。バスが一時間に一度しか来ない。スーパーが遠い、カラオケがない、コンビニがない。国めなんとかしろ』
みたいな特集をテレビで見ては見る度、憤慨してた。
『生活改善なんてのは自分自身で成していくものだ。どれもこれも、手前の努力不足じゃないか。お年寄りとかならともかくいい若者が。田舎が嫌なら都会に引越せばいい。引っ越しにも費用がかかる?ならば働いて貯めなさいよ。いい仕事がない?それこそ努力不足じゃないかよ。事情があって離れられない?じゃあ我慢でしょうが、幸せは向こうから歩いて来ないんだよ…』
友達がドン引きするくらいに憤ってたと思う。
『努力をしないくせに要望だけは一人前』というのが大嫌いだった。

けれど、あるとき体を壊してしまって空気のいい地方まで退却を余儀なくされたとき、それら全てが己の身にふりかかった。
今になって
「人には各々事情ってもんがある」
というある友人の言葉が刺さる。

その田舎は空気のきれいな療養向けの土地という場所で、避暑地としても使われると聞いていた。
親戚筋を頼り、ふつうはありえない家賃で住む家を提供してもらえることになった。
これからどうなるか不安でいっぱいだったが、救われたような気がした。

しかし。
駅がない。
まず鉄道が通っていない。
バスは一時間どころかニ時間に1便あるかないか。
タクシーは需要がないとかで走っていない。
たしかに大きな病院の療養施設があるのだが、ほぼ老人ホーム状態。
若者の姿は見えない。

スーパーはある。
けど、大きな湾を迂回した先。
いわゆる “クルマの距離” 。
車や免許をもっていない。
買おうにも、これまでの治療費・意外にもが高くついた引越し費用ですっからかん。
そもそも、
「そんな体で車!?ダメに決まってるだろ!」
と叱られている。
それは、もちろんそうだ。
事は自分が危険だけでは終わらない可能性があることだし…。

遊ぶスポットといえば、件のスーパーの3倍の距離にある温泉施設の一角にあるボウリングやゲームコーナーくらい。
コンビニはあるが大手ではないし、品揃えが田舎仕様(伝わるかしら…)。

紹介された仕事は最低賃金の、いわゆる誰にでもできるお仕事…。
わかってる、文句なんて言える立場じゃない。
住民のひとたちからは暗に
『農業も手伝えない、漁業も手伝えない。そんなんでどうしてこんな所来たの』
と言われる。
聞けば歳の近い若者は何人かいるけど、どの人も住民から懇願され住み留まってる人達。
住民からも最初はそういう人員だと思われてたみたいで期待されてたらしい。
あと、これは新しい発見だったけど、
自分がこんなに【虫】に弱いとは思わなかった。

できることならいますぐもとの生活に戻りたい。
けどだめだ、望んだことでないとはいえ、既に何人もの人に迷惑をかけ、協力してもらい、俺はやっとのことでいまここにいる。
自分で言った通り我慢するしかない。
ひと夏を過ごすにはいい場所と思う。
でも向こう2年・3年と住むには…。

一刻もはやくなんとか元の暮らしに戻りたいが、体は未だに言うことを聞いてくれない。



おだいじに 2巻