739: 名無しさん@おーぷん 20/09/18(金)15:52:47 ID:Km.ec.L1
生活指導のAという教師がいた。
横暴で口が悪く、セクハラや理不尽な暴力は日常茶飯事。
だけど
『バックにはヤのつく人がいる』
という噂が絶えない人間だったため、誰も口出しができない状況にあった我が母校。

ある日、Yという真面目で文武両道な如何にも模範生な男子がとても素敵な万年筆を持ってきていた。
彼曰く、
“お父上から普段の頑張りを讃えてもらった上でのご褒美の品”
だったらしい。

しかしそこでAが教室に突然来た。
まだ昼休みは終わっておらず、Yの机には万年筆が置きっぱなしだった。
それが悲劇の始まりだった。




Aは万年筆に目をつけ、
「校則違反だ」
なんだといちゃもんをつけ、Yの目の前でそれをひったくった。
するとYは
「なぜ校則違反なのか」
「具体的に説明もせずに持っていくのは、いくらなんでも教師とは言え、泥棒ではないのか」
と反発。
私達は普段真面目なYが教師に、ましてやAに食って掛かるとは思ってもおらず、驚いて固まっていた。

AはYの反発に腹を立て、顔面を思い切りぶん殴り、蹴倒して何回も蹴りを入れた。
私達はAのいつも以上の暴力に恐れ、動けずにいた。
暴力が止んだその後、Yはよろよろと立ちあがり、教室をあとにした。
Aはいいモノが手に入ったと言わんばかりに万年筆を掲げ、ニヤニヤと教卓に座っていた。

昼休みの後の授業は二時間続けて自習だったが、よりにもよって監督はAだった。
自習が始まりしばらくして突然、普段はパッとしない校長と教頭が青ざめたようすで教室にやってきた。
そしてAに万年筆のことを問いただした。
どこで手にいれたのか、君の私物ではないのか等と。
Aはニヤニヤと醜い笑顔を浮かべ、『Yから没収したものだ』と言い、
「Yが反抗してきたから少しお仕置きをした』
と堂々と話し始めた。

そこで、Aの教員人生は終わることとなった。
校長が
「聞いての通りです」
と絶望に満ちた声を扉の向こうにかけた。
そして、大柄ないかにもなヤクザでございというおじさまが、部下をつれて教室にやってきた。
Aは固まっていた。
おじさまは、
「何をもって校則違反なのか」
「うちの息子は今、暴行を受けたため病院で検査を受けている」
「このままでは入院してしまい受験に影響が出る」
等と、Aの肩を掴み、ゆっくりと低い声で語ってAを連れ、教室を去っていった。
校長達も力なくそれに続いて行った。
私達は呆然とそれを見ているしかなかった。

やがて、その日を境にAは消えた。
消息を追おうとする人は誰もおらず、Aのことを口に出すものは誰もいなくなった。
Yもいつの間にか、私達の前から姿を消していた。

一週間前、Yのものに似ていた万年筆を偶然見かけたのでふと書き込んでみた。



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