744: 名無しさん@おーぷん 20/05/22(金)12:32:27 ID:3hi
私が高校3年の時に両親が離婚した。
受験の真っ最中だった。
元々仮面夫婦みたいなところはあったんだけど、母の浮気が発覚して一気に離婚になった。


私は母が嫌いだった。
父は割と金持ちだったんだけど、母に生活費としてある程度のお金を渡してあとは父が管理してた。
母はそれが不満らしく、私がまだ小学生の頃からよく
「自分はもう一人プロポーズしてくれた人がいたけど、専業主婦になりたかったからお父さんを選んだ。
でもこんなことなら向こうを選べば良かった」

って言ってて、そんなことを娘に話す母親が嫌いだった。

父は、自分できちんとプレゼンして要求したものについては納得すればお金はいくらでも出してくれたし、結果報告をするとちゃんと聞いてくれた。
良い結果を出せれば褒めてくれたし、失敗しても
「その経験がいつかきっと役に立つ」
と言って私にやる気を与えてくれる人だった。
だから父のことは好きだった。




その母の浮気相手は、昔母にプロポーズしてくれたもう一人の男性で、いわゆる焼けぼっくいに火ってやつだった。
それが発覚してから、父はすぐに私にホテル暮らしをさせた。
私は目指している職業があって、父はそれを応援してくれていた。
「大事な時だから受験に集中しろ」
って言って、部屋を用意してくれたんだ。

その後、離婚が決まり、私は大学に合格した。
私は大学の寮に入ったんだが、長期休暇には父のマンションに帰ってた。
父は実家を売って新たにマンションを購入してて、『父についたほうが得』という打算が無かったと言えば嘘になるが、
そもそも父に対する不満はなかったし、逆に母には浮気の件以来 嫌悪感しかなかったから。

以来、母には全く会っていなかった。
結婚する時も、子供が生まれた時も、連絡してない。

745: 名無しさん@おーぷん 20/05/22(金)12:32:41 ID:3hi
そして母がどこで何をしてるのかも知らないまま40歳を迎えた頃、
『(母)が死んだ』
という知らせが再婚相手(=浮気相手)から届いた。

再婚相手と私とで “遺産相続” をすることになるらしいが、銀行預金は定期預金が20万ほどあったが、普通預金残高がマイナス9万ぐらい、数枚のクレカの支払い残高が合計で90万ほど。

なんかもう笑っちゃったけど、再婚相手は終始無表情だった。
『たぶん昔はイケメンだったんだろうな』って思うような整った顔だったけど、
(なんか…醜い顔だな)
と思った。
印象だけど。
どうして母は父よりこの人が良かったんだろう。
母は
「自由になるお金が少ない」
ってよく口にしてた。
けど大人になってから叔母に聞いたら、父は毎月生活費は40万渡してたらしいし、自宅は持ち家だったんだから十分だったはずなのに。
私自身が結婚して家計を遣り繰りするようになって、40万の何が不満だったのかさっぱり分からなかった。
けど、母のその負の遺産を知って、答えがわかったような気がした。
もちろん結婚生活はお金だけじゃないけど、少なくとも母が一番拘ってたのはそこだったんだよね。
なんか憐れな人だったな。

相続はもちろん放棄した。
手続きが終わってから父に報告をしたら
「そうか」
とだけ言って、気のせいか少し寂しそうだった。
その時に初めて父に
「見合い結婚だったって聞いたけど、お母さんのこと好きになって結婚したの?」
って聞いた。
今までずっと聞いてみたかったけど、なんとなく聞けなかった質問。
そしたら
「そんなこと言わすな恥ずかしい」
って言われた。
その言い方と父の表情から、
(ああ父は好きだったんだ母の事…)
と思ってちょっと嬉しかった。
(少なくとも父の愛の結晶ではあったわけだ…)
って。



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