211: 1/3 20/04/29(水)12:24:15 ID:h8.dk.L1
母から聞いた話。


昭和の終わり頃の、田舎町でのこと。

Aは妻に先立たれ、子供もいない、孤独な独居老人だった。
それでよく友人知人の家に遊びに行っていた。
そのまま泊めてもらうこともあった。
Aは裕福で、遊びに行くときはいつも相手が恐縮するくらいの手土産を渡していたらしい。
昭和の田舎だから、現在とは人と人の距離感が違うだろうけど、それでもちょいちょい友人が泊まりに来る状況というのは、あまり歓迎できることではなかった。
それで、市内に住んでいた甥夫婦がAを引き取って同居を始めた。

同居にあたって甥夫婦はAに、
1.「出かけるときに、どこに行くか、いつくらいに戻るか教えて」
2.「帰ってきたら、ひと声かけて」
3.「出かける予定は、できるだけ前日までに教えて」
の3点を頼んだ。

しかし、これだけでもAは面白くなかったようで、言われたことを全くしないだけではなく、
「甥夫婦は俺の行動を監視している」
「俺が出かけるのが嫌で、家に閉じ込めようとしている」

と言いふらした。
また、Aがいつ帰ってきたか分からないため、食事の時間にAが食卓についてもAの分の食事がない、ということもあった。
それもAは
「俺の食事だけ作らない」
と言いふらした。

甥夫婦はAの話を鵜呑みにした正義の味方()から電話で説教されたり、嫌がらせをされたりした。
甥夫婦には二人の娘(中学生と高校生)がいたが、その娘たちまで嫌がらせの対象になったので、ついに甥夫婦がキレて
「そんなにうちが嫌なら出てってくれ」
と言った。
Aは
「年寄りを追い出すなんて」
とウソ泣きした。




212: 2/3 20/04/29(水)12:24:26 ID:h8.dk.L1
悪口は、時間とともに酷くなって
「甥夫婦は金目当てで俺を引き取った」
「俺が早く死ねばいいと思ってる」

とまで言いふらされた。
その結果、正義の味方()たちが甥夫婦の家に凸して
「Aを解放しろ!」
とやらかした。
甥夫婦は
「どうぞどうぞ」
と快くAを見送った。
Aの荷物も、正義の味方()たちが軽トラ持ってきて、即日引っ越しが済んだそうだ。
Aが甥夫婦に引き取られてから出ていくまで、半年もたってなかったらしい。

Aは、友人Kの家に引き取られた。
そこでもAは甥夫婦の家でやっていたようなフリーダムな生活をした。
Kは『フリーダムすぎる』とAに苦情を言った。
そもそもKは次の家が決まるまでの一時的な同居のつもりだったのに、Aが次の家を探そうとしないことも注意した。
Aは今度はKの悪口をばらまいた。
Kは共通の友人JにAを引き取ってもらった。
Jの家でも、Aは似たようなことをやって追い出された。

この辺で周囲も
『実は甥夫婦は悪くなかったのでは?』
となり、話を聞きに行く人も出た。
甥夫婦は淡々と事実の説明だけをした。

213: 3/3 20/04/29(水)12:24:58 ID:h8.dk.L1
Aは一人暮らしに戻った。
そしてまた気ままに友人知人のところに遊びに行きだした。
が、Aの所業が周囲に知れ渡っていたこと、Aが何日も居座るようになったことから、迷惑がられて避けられるようになった。
Aをもう一度甥夫婦に引き取らせようとする人までいたらしい。
もちろん甥夫婦はきっぱりと断った。

数年後、Aは病死した。

Aは弁護士に遺言状を預けていたが、そこには甥夫婦への罵倒と
「俺の金が欲しかったんだろうが1円だってやらねーよ!全額慈善施設に寄付すっから!」
というようなことが書かれていた。
甥夫婦は葬儀や墓などの面倒は見るつもりだったが、遺言状の内容を聞いて、
「そこまで言われて面倒を見る筋合いはない」
と一切関わろうとしなかった。
たぶん行政が対応したんだろう。


母は上記甥夫婦の中学生の娘。
母に “昭和と令和で変わったこと” の話を聞いていて、この話を教えてもらった。



天涯孤独死