974. 名無しさん 2019年05月18日 01:10 ID:.2QNfElU0
復讐でも武勇伝でもなく、しいて言うなら天然返しだけど、とりあえずアルハラとパワハラは撃退できたんで書く。

私は以前、ビールが大嫌いだった。
口に入れても飲み込めない。
アレルギーとかではなく、ただの好き嫌いで、ビールの味が嫌い。
お酒は好きで、特にウィスキーが大好き。

大学を卒業して、就職した。
新入社員歓迎会は立食パーティで、ホテルの宴会場だった。
社員の皆さんがあちこちでビール瓶持って、
「まあ一杯」「どうも、じゃご返杯」
とやっていた。
私は上に書いたようにビールが嫌いなので、飲み物のカウンターでウィスキーの薄い水割りをもらった。
乾杯の時もそれを使い、あとは目立たないよう会場の隅っこに避難して、
(うわー、ローストビーフもローストポークも海老マカロニグラタンも食べ放題だあ。
就職してよかった)

と、一人でもぐもぐ食べていた。
薄い水割りではつまらなくなって、飲み物カウンターのお兄さんに頼んで、ウィスキーのロックを作ってもらった。

それをちびちびなめながらご馳走を満喫していると、ビール瓶を持った中年の男の人がこちらへやって来た。
「新人さんだね?」
私「はい、A課のBです。よろしくお願いします」
ビール瓶の人はC課の課長だと言って、
「まあ一杯」
とビールをつごうとした。




私が
「あ、ビールは飲めなくて……」
と断ったら、C課長は「酒が飲めない」と思ったらしい。
「いやいや、社会人になったら、ビールくらい飲めなくちゃ」
と言い出した。
「はい、すみません、でも」
「何飲んでんの?ウーロン茶?ダメダメ、大人はアルコールも付き合いのうちだよ」
「あの」
「ほら新しいコップ持って、ね、初めは酒なんてまずいと思うかもしれないけど、練習練習」
「あの」
「ちょっとだけなら酔っぱらったりもしないから、まず試してみなさいって」
「あの」
「なになに?上司の酒が飲めないって?だから社会人になってそれはダメだって」

975. 名無しさん 2019年05月18日 01:15 ID:.2QNfElU0
歳を食った今なら、一杯だけついでもらってちょろっとなめてごまかすこともできるだろうし、堂々と「ビール嫌いなんです、ウィスキーならいただきます」とかも言えちゃうだろうけど、当時は社会人になりたての小娘、相手の勢いに押されておろおろするだけだった。
C課長は新しいグラスとビール瓶を持って、
「ね、ほら一杯だけ」
とぐいぐい顔を近づけてきた。

私はついにウィスキーのグラスを自分とC課長の顔の間に突き出し、
「ウーロン茶に見えるけどこれはウィスキーです!」
とやっと言えた。
C課長はグラスの中の液体の色を見て、
「これ、ストレート?」
「ロックです。氷、入ってます」
C課長は急に勢いがなくなった。
「ああそう、ビールなんか勧めちゃって失礼したね、じゃあたくさん飲んでいって」
と、パーティの人ごみに消えていった。

976. 名無しさん 2019年05月18日 01:17 ID:.2QNfElU0
私は
(やっぱり社会人になって、好き嫌いなんか言っちゃいけないんだ。
ビールを飲めないのは社会人としてダメなんだ。
C課長に気まずい思いをさせてしまった)

と、とても反省した。
それから家でビールを飲み込む練習をした。
3か月ほどかけて、好きにはなれないが飲めるようにはなった。

夏の納会では、私は
「よーし来い!」
とビールのつぎ合いをやる気満々だったが、どうもC課長が
「A課のBはとんでもない飲んだくれだ」
という噂を流したらしく、
「君は好きなもの飲んでていいよ」
とビールの輪から外されてしまった。
練習の成果が見せられなくて残念だったが、おかげで後々のパーティや飲み会は快適に過ごせた。

C課長の態度はアルハラでパワハラだとわかったのは、次の年の新入社員歓迎会。
ビール瓶を持ったC課長が新人の女性社員に同じように迫っていて新人さんが困っていたので、私は
(あ、新人さんもビール嫌いなんだ、飲み友達になってもらおう)
と思い、
「課長ダメですよ、私みたいにビールが苦手な人って結構いるんですから」
とC課長と新人さんの間に割って入ったら、C課長は素早く逃げた。
新人さんに
「入社した途端にアルハラパワハラでどうしようと思ってました。
ありがとうございます」

とお礼を言われてからである。



みちづれの花