730. 名無しさん 2018年07月13日 06:28 ID:jnEIWcTf0
父が男尊女卑の長男教な人だった。
私は長女で、弟が長男。
なので弟は跡継ぎとして大事にされていた。
物心ついた時には、母は父に虐げられても逆らうことなく生きていた。

とは言え父も私に厳しく当たってたわけではなかった。
優しく可愛がってくれてはいたが、しかし
「女に学歴は不要」「男を立てろ」「女らしく(スカートをはけ等)
と、ナチュラルに母と私を差別してきてた。
弟は弟で
「一流大学へ行け」「男らしく、なよなよするな」「くだらんモノ(マンガやアニメ)を見るな」
と、それはそれで大変だったみたいだ。

それでも私は小学校のうちから家事の手伝いをさせられ、母ともども父や弟のお世話係的存在だった。
弟も父からうけるストレスのせいか、私や母に尊大な態度を取ってた。
私はなんとか短大に進ませてもらったけれど、高校の頃から母に離婚をすすめていた。
「なんであんな偉そうな態度の弟に世話をしなけりゃならないのか」「弟は平気で遊びに行けても私は勉強と家事手伝い」「この家はおかしい」「父のせいだ」「離婚して自由になろうよ」
と。
しかし母は首を振るばかりで、言いたくなかったが
「母のような女がいるから私みたいな犠牲者がでるんだ」
って言葉の暴力をぶつけたこともあった。

短大卒業後、父から見合いを強要されたけど、ぶっちぎって逃げた。
彼氏のところに転がりこんだけど、ウザがられて別れた(これは私も悪い。いきなりだったし父母弟に対する不満を愚痴ってばっかだったし)。

母に頭下げてお金を借りてなんとか住むところを探して仕事を見つけた。

731. 名無しさん 2018年07月13日 06:29 ID:jnEIWcTf0
それから10年ほど経って、父が定年退職したら、母が離婚した。
母は父の退職金が出ると、弁護士を雇ってそれを半分取ってさっさと引っ越してしまったそうだ。
私はそれを数ヶ月後に弟から聞くまで知らなくて、びっくりした。

弟は母の居所を知りたかったみたいだけど、
「私も知らない」
と聞くと今度は
「ねーちゃん戻ってきてよ」
と抜かした。
家事的に無能力者である弟は、今やゴミ溜め化した状態の家で暮らしてるらしい。
父は実は家事もやろうと思えば出来る人だったはずだが、長年母にまかせてやらなかったことと、母に離婚されたショックが退職後の燃え尽きに重なって、無気力人間と化してしまったらしい。

もちろん弟の要請は断った。
アラサーになった私は未婚とは言えそれなりに責任ある仕事してるし、楽しい仕事を辞めてくそつまらん無給家政婦を選ぶ理由なんかなかったから。




その後、私は母にお金を返した時に教えてもらった連絡先(母の友人)に母の居所を尋ねた。
母から連絡があったのは3日後で、それから母と会う段取りをつけた。
(やっと母もその気になったか、案外したたかだったな)
と嬉しかった。
燃え尽きた父のことはちょっと心配だったが、「弟が面倒看るべきだ」と思ったし「少しは苦労すればいい」と思った。

待ち合わせた喫茶店で久々に会った母はツヤツヤと元気そうだった。
表情も明るくて、白髪やシワが増えたのにむしろ若々しく見えて、私も嬉しくなった。
でも、私が近況を伝えて母の方はどうか聞いても、なんだか要領を得なかった。
というか母の方はなるべく私に何も教えないようにしているように思えた。

私はなんだか不安になって、母に
「一緒に暮らそう」
と提案した。
「今なら世話を焼かないといけない人なんか居ないし、親子水入らずでやっていこう」
って。

732. 名無しさん 2018年07月13日 06:36 ID:jnEIWcTf0
そしたら母にきっぱりと拒絶された。
「そんなつもりはない」
って言われた。
「ここに来たのはそれも伝えたかったから」
って。

動揺して
「どうして!?」
って聞いたら、
「もう自由になったんだから好きに生きたいの」
「やらなきゃいけない事から解放された今は何をしても楽しい、しがらみを持ちたくない」

って。

それでも母に
「私は縛りつけたり強要したりしないよ」
と言って翻意をうながそうとしたら、
母に
「そんなことないじゃない」
ってビシリと言われてしまった。

混乱した私がどういうことかと思いながら固まってると、母は
「高校の頃から大学卒業までずっと私に『離婚しろ離婚しろ』って言ってたじゃないの。
お父さんや◯◯(弟)のことを屑呼ばわりして、『あんなのほっとけ』って言ってたでしょ?
あんたの気持ちは分かるからそれを責めるつもりはないけど、出来ないことをずーっと言われてもこっちは辛いばかりなのよ?
離婚しても、私は仕事してた期間も短いし、お金や生活のことを考えるとそんなこと出来やしなかった。
そもそも私は分かっててあの人(父)と結婚したの。」
「あなたは家事手伝いさせられて大変だったと思う。
でも◯◯も、あなたが出ていってからは、あの人に習い事を増やされたり深夜まで勉強させられて同じくらい大変だったのよ。それこそ家事なんか出来ないくらいに。
『◯◯だけ遊びに行ってた』って言ってたけど、あなたも同じ年の頃は遊びにいってたし、同じなのよ」

と、そんな風なことを言って、続けて
「あなたが出ていって、あの人にものすごくなじられたわ。
それこそ離婚を決意するくらいに。
だからね、あなたが言ってたことは正しかったと思う。
でもね、あなたは私の味方って訳じゃなかったでしょ?
私みたいな女がいるからって責めたの覚えてる?あなたにとって私は敵だったの。」

ショックだった。

733. 名無しさん 2018年07月13日 06:38 ID:jnEIWcTf0
「離婚を決意してからは友人に相談して、もっと家のことを頑張ったわ。離婚の材料になるものね。
まあ離婚したら困るように上げ膳据え膳続けたって仕返し的な意味もあったんだけど。
でもそれは苦痛だったわ。
それまではなんともなかったのにね。
◯◯には家事を教えようと最初頑張ったけど、逆にあの子追い詰めるみたいになって諦めたわ。
今は◯◯もいいところに勤めてるし、そういうお嫁さんつかまえるか家政婦雇ったらいいんじゃないかしら?」

順番とかめちゃくちゃかも知れないけどこんなことも言ってた。
「あなたも◯◯も、私から見ればどちらも可愛い子供だけど、あなたたちから見て私はどんな存在なのかしらね。
それは分からないけど、私にとってはどっちも同じなのよ。どっちの味方でもないの。」
「あの人と離婚したのは復讐だったわ。でも私はあの人の共犯でもあったの。
あなたが出ていってこれでもかとなじられて、共犯者に裏切られたと思ったから復讐したけど、それがなかったら今も夫婦で変わらず暮らしてたと思うわ。
そしてそれはさっきも言ったとおり別に私は苦痛じゃなかったのよ」

母はそこまで言うと、しばらく黙って、
「じゃあこれで終わり!
あなたもこんなババアのことなんか放っといて元気で好きに暮らしなさい。
10年くらいかしら?ほとんど音信不通だったしいまさらでしょ」

とそんな感じのことを言って笑い、冷めたコーヒーを飲んで帰っていってしまった。

なんだろう、なんだか辛い。
復讐されたのは父のはずなのに、私が復讐されたみたいな気分だ。
私の言った通りになったんだけど、なんで私の思い描いた通りになってないんだろ。
いま弟には父がいるけど、私には母はいないのはなぜなんだろ。



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