633. 名無しさん 2017年12月12日 19:42 ID:WQnXzMGN0
復讐かどうかは確信が持てないけど、今の時期になるたび思い出してしまう事がある。


大学時代のサークルにAという先輩がいた。
悪い人ではなかったが、皆から好かれようとして空回りして結果的に誰からも信用されないタイプの、ちょっと残念な人だった。

そんなA先輩だったが幼馴染のB先輩という親友がいて、B先輩はことある事にA先輩に
「なんでもかんでも安請け合いするな」
と助言をしていた。
B先輩曰く、
「Aは昔から八方美人な傾向はあったけど、大学で今までと全く違う人間関係になって約束の優先順位がつけられなっているだけ」
との事だった。

B先輩の助言もあってか、A先輩は卒業する頃には過度の八方美人はなくなり、適度になんでも任せられる頼もしい人という印象になっていた。
卒業後、A先輩は地元で就職。
B先輩は首都圏で就職した。

それからしばらく経ったある年の瀬。
久しぶりに新幹線と電車で帰省することになったB先輩を、A先輩が「駅まで迎えに行く」という約束をした。
ところが運悪く電車のトラブルが起きてしまい、B先輩の到着が遅れることになってしまった。
遅延が判明した段階で、B先輩はA先輩に連絡を入れた。
A先輩は、
「最初から迎えに行くって約束なんだから迎えに行く、電車に乗れたら連絡をくれ」
と返したらしい。
数時間遅れで電車に乗ったB先輩は
「到着は(何時)頃になりそうだ」
というのを連絡し、A先輩からも
「わかった」
と返信があった。




634. 名無しさん 2017年12月12日 19:43 ID:WQnXzMGN0
ところが、駅に着いてみると迎えに来ると言っていたはずのA先輩の姿はない。
時間はもう真夜中近く、田舎なので駅舎も簡素なもので暖房などない。
タクシーをよんでも数十分かかるような駅だった。

B先輩が慌ててA先輩に連絡を取ると、
「ごめん、今会社の人とやってる麻雀が終わんなくてさ、今やってるのが終わったら行くから待ってて」
との回答。
これにはさすがのB先輩も激怒し、
「もう来なくていい」
と言い電話を切り、タクシーを呼び帰宅する事にした。
ところが運の悪いことに、タクシーに乗って帰宅中、信号無視をした車に横から突っ込まれてしまった。

幸い命に別状は無かったものの、
“A先輩がB先輩との約束をすっぽかして遊び呆けていたせいでB先輩が大怪我を負った”
という話は、瞬く間に仲間内に広がった。
A先輩はあらゆる方面からの信頼を失い、さらにB先輩という親友にも縁を切られる始末。

ここまでなら、ただの自業自得だなーって思う。

635. 名無しさん 2017年12月12日 19:45 ID:WQnXzMGN0
それから数年経った頃、B先輩が交通事故で亡くなってしまった。

そしてさらに月日が経ったある年の瀬、久しぶりに大学時代のサークルで仲が良かったメンバーで集まる事ができた。
皆、その場にいないB先輩を悼み、少ししんみりとした空気になった時だった。
「A先輩がいなけりゃ、B先輩は死ななくて済んだのにな」
と、誰かが呟いた。
この発言に自分は一瞬
(え?)
と思ったのだが、皆一様にうんうんと頷いている。

自分の様子に気付いたメンバーの一人が、
「あれ、お前知らなかった?
A先輩がB先輩を迎えに行くって約束すっぽかして、B先輩がタクシーで帰らなきゃなんなくなって、その帰りに事故に巻き込まれて亡くなったんだ」

と教えてくれた。
自分は慌てて、自分が知っているのは上記の内容だと説明したんだが、逆に
「え?なんでそんな話になってんの?」
と不思議がられた。
メンバーの中にはB先輩の事故後、自分と一緒に見舞いに行った奴も居たにも関わらずだ。
自分だけが別の世界から迷い込んだんじゃないかと思うほどだった。

おそらく誰かが誤解した話が広がったんだろう。
けど、自分以外の人間がそれを事実だと信じ込んでいる様子に、なにか恐ろしいものを感じた。

さらに怖いのが、すっぽかし事件以降のA先輩の消息を知っている人が誰もいないという事。
なんか、元々A先輩を快く思ってなかった誰かが、B先輩の事故を利用してA先輩を意図的に排除したんじゃないかと勘ぐってしまう。



変った話