603: 名無しさん@おーぷん 2017/06/01(木)21:34:45 ID:1P3
もう引退しているけれども、私の父は自営業だった。
一人でやっている事業で時間に融通が効くので、私が小学校から帰ると先に家に居ることも多かった。

その日も私が帰宅すると、外に父の車があったので
「お父さんただいまー」
と玄関で呼びかけて家に入った。

が、家の中は暗く、父の返事はない。
出かける用事があるとも聞いていなかったので、不思議に思いながら居間の電気を点けようと薄暗がりで電灯の紐を探った。




その時何かに躓いて、
よく見ると父が倒れていた。
頭が真っ白になった。

「お父さん!お父さん!」
泣きそうになりながら揺さぶると、呻く父。
(良かった!)
とりあえず意識はあるようだ
「大丈夫!?どうしたの!?」
「タラの…」
「え?」
「タラの白子をいただいたから…家族が帰宅する前に一人で刺身で食べたら…腹が…」

父、新鮮な白子を独り占めしたせいで食あたりしただけだった。

死んだように倒れている父を見つけたのも衝撃だったが、美味いものを家族に内緒で食べる賎しい人間だとわかったのが更に衝撃だった。



パパが遺した物語 [DVD]