442: 1/2 2015/10/26(月)00:12:24 ID:Twg
5年前の学生だった頃の話。

かなり大きい、学生向けのシェアハウスに住んでいて、友達の紹介で仲良くなったのがきっかけだった。
冬休みに帰省する際、相手がメアドを教えてくれて、そこからずっと冬休み明けに会うまで毎日連絡が続いてた。
はじめは仲のいい友達だったんだけど、繰り返すうちにちょっとずついい雰囲気になって、
「あれ、もしかして好きかも?」
という感じに。
相手が
「休みがあけたらご飯行こうよ」
と送ってくれた時はすごく嬉しくて、初めて
(休みが早く終わって!)
なんて思った。

学校が始まってから、彼の態度は急に変わった。
会ってもそっけないし、ご飯の約束の話をしても
「また今度」
ではぐらかされて。
その頃の私はもう彼が大好きで
(恋人は無理でも、どうにか前みたいに……)
なんて考えていたけれど、風当たりは強くなるばかり。
(前までのはなんだったの?)
と思うくらいよそよそしくて、すごく辛かった。

ある日ご飯を仲のいい友人達と作っていて、その中に彼も混ざっていた。
お金が無いからとうどんを茹でていた子に友達のひとりが
「オレンジジュース入れたら美味しくなるんじゃないの?」
なんて冗談を言った。
それに乗っかって
「私のコーラもいれる?コーラ煮とかあるじゃん」
と、言った時だった。

「はあ?うどんにコーラとかお前さ、ほんと頭湧いてんじゃねーの?」

好きだった彼の一言だった。
もちろんそこにいた全員が『コーラを入れる』というのが冗談だとわかっていたし、
「うどんでそれはないでしょ!」
なんてツッコミを入れられた後だから、余計に場の空気もどんよりとした。

そしてどんなに冷たくされても好きだったのに、一気にその気持ちが嫌悪に変わった。
すごく悔しかったのもあるけれど、何より
(周りの人がどういう気持ちになるかとか、そういうことすら考えられないのか!)
と怒りも強かった。

443: 2/2 2015/10/26(月)00:12:51 ID:Twg
それから私は化粧もダイエットも、勉強も頑張るようにした。
『頭が湧いてる』と言われた悔しさはものすごいバネになった。
化粧は上手な友達に教わった。
ダイエットはクビレを重点的に作るようにした。
勉強は学校のものはもちろん、その後役立つだろうとTOEICの勉強もした。

三ヶ月後、彼に呼び出され、告白された。

「冷たくしたのは恥ずかしくて。
けれど君なら言わなくてもわかってくれると思ってた。
だからそうやって綺麗になったんだろう?」


そんなことを言われた。
面白くて仕方がなかった。
もうとっくに好きじゃないこと、綺麗になったのは自分のためだということ。
それを告げると目を釣り上げて怒ったけれど、
「言わなきゃわからないってことすら、教えてもらわなくちゃわからないの?」
「頭湧いてるって言ったの誰だっけ?よくそんなことを人に言っておいて告白なんかできるよね。頭湧いてるのかな?」
と返すと、バツの悪そうに
「ブース!死ね!!」
と言ってどこかに走っていった。
すごくすっきりした。

それから一ヶ月後、シェアハウスの中で彼氏ができて、私たちが仲良くなにかをしてるのを見て恨めしそうにするのが滑稽で仕方なかった。
来年、その彼氏と結婚が決まったので厄落とし。



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