164: 名無しさん@おーぷん 2015/03/31(火)13:35:05 ID:l3P
大学時代の友人だったAの話。
とにかく人を褒めたりおだてたりするのが上手くて、明るい男だった。
友人も多かったし、バイト先では可愛がられ、教授には気に入られ、ゼミでもサークルでも人気だった。

夏休みに一度Aがうちの実家の方に旅行に来たことがあって、実家に俺もいたので招待した。
話が上手いので両親や弟にも大人気だった。

Aが帰った後、母が
「あの子楽しい子ね。でも多分ちょっと怖い子ね、可哀想な子なのかな」
と言った。
それはなんだか意外だった。

社会人になってもAは友達に囲まれ、仕事も順調そうだった。
ある日用があってAに電話すると、
「風邪こじらして病院行ったら、なんか入院することになったよw」
と言われた。
やんわり断られたが、なんか心配で見舞いに行った。




病院で担当だという医者に呼ばれて行ったら、
「家族に連絡がつかなくて困ってる。病状が悪い。急性骨髄性白血病だ」
と言われた。
Aに家族の連絡先訊いても
「誰も見舞いに来ないよー」
とのらくらしてるので、奔走した結果、Aのアパートの保証人になってた一番上の兄という人と連絡がつき、病院に来てもらった。

そのお兄さんの話では、Aの家は7人兄弟で、無職パチンカスでアル中の両親に殴られたりネグレクトされて育ったという。
その父も10年前に失踪し戸籍上死亡していて、母も3年前に失踪したらしい。
そんな話はAから全く聞いたことがなかったので驚いた(思えば自分の家族の話はうまく逃げてた)。


Aは回復しないまま一か月後亡くなった。

お兄さんから
「Aのアパートを片づけるので、申し訳ないが案内&手伝いしてもらえないか」
と頼まれ、アパートに行った。

片付けを手伝って台所の物を処分してる時、流しの下の棚の奥に、大きな鼠ランドの土産の缶を見つけた。
開けると、ムッとした臭いがした。
ティッシュにくるまれた3本くらいの汚い歯と、金の結婚指輪2個と、汚い水に浮いてるオッサン?の写真が2枚入ってた。

お兄さんに
「これ何でしょう」
と渡すと、お兄さんはジッと写真を見た後、いきなりコンロにフライパン置いて、ライターで写真を燃やしてしまった。
歯も指輪もガムテープでグルグルに巻いて、ポケットにサッとしまった。

その後は少し気まずい思いで片づけをした。

お別れの時、お兄さんから
「今日は手伝いありがとう」
と言われて3万も渡された。

お金は
「Aの追悼飲み会やろう」
とSNSで呼びかけ、その飲み会でパーッと使ってしまった。
勿論、気まずくなった缶の話は誰にもしてない。

あれからもう10年近く経つけど、時々思い出すんだけど、誰にも言い辛いことなのでここに書いてスッキリした。

母はAをああ言ったけど、やっぱりあんな楽しい、良い友達はそれ以降も出来ない。



心の片づけ方 (中経の文庫)