161: 名無しさん@おーぷん 2015/01/21(水)20:55:16 ID:YrE
十年以上前のお話。

とあるまったり半お役所会社に就職した。
公務員ではないけど役場と仕事をしていて、社員も公務員のOBが半分くらい。
天下りというより、病気とかの理由で早期退職した人の受け入れ先みたいな感じだった。
あと公務中に亡くなった人の奥さんとかも働いていた。

時代はIT化まっさかりだったが、私が入社した時はパソコンは一台もなかった。
私(A)と同僚のBとCはIT化要因として採用されていて、三人でPCメーカーと話し合いやら見積もりやらと、これは新人の仕事なのか?ということをやっていた。
でも基本まったりとした会社なので、
「急がなくていいからね~」「若いのにすごいねぇ~」
という感じでストレスフリーな良い職場だった。

が、私が入社した年度で退職する60半ばのSという人が曲者だった。
今生きてたら80歳くらいだと思うけど、元警察官で、
悪い意味で「警官らしい」人だった。
横暴で話を聞かない、自分が正しいと思い込み、常に上から目線。
人のミスを見つけるとねちねちつつき回し、いさめられても
「ルールを破ったほうが悪い、それを指摘してる俺は正しい!」
という態度だった。
当然嫌われていた。

SはIT化の波についていけず、この会社でもトラブル続きで、普通なら嘱託として70くらいまで働けるところを、65くらいで退職していった。
Sの仕事は私たちABCが分割して引き継ぐことになり、もめながらもなんとか引継ぎをした。
3月には正直
「やっといなくなる、いないほうが絶対仕事になる」
という心境だった。




しかし4月になってからもSは頻繁に私たち三人に連絡してきた。
「何か困ってないか?」
と気遣うような感じなんだけど、絶対に自分から電話を切らない。
「いま打ち合わせ中なので」
と言うと
「じゃあ30分後にかけなおす」
とか、しつこい。
Bが出勤途中で事故にあったのだが、何故かそれを知っていて、Bに連絡。
「変わりないか?」
「ないですよ」
「嘘つけ!事故ったんだって?(笑)」
などなど。
シンプルにうざかった。
しかし仕事の関係で携帯は切れないし、携帯に出ないと職場の電話にかかってくる。
また変にまったりしてるので、周りも
「あらお久しぶり~Aさんね、今かわるわ~」
というノリだった。
新人の身では
「取り次がないでください!」
とは言いにくい。

生活が落ち着いたら減るだろうと思っていたけど、どんどん増えていき、
とうとう平日でSから連絡のない日はなくなった。
というか毎日2人にはかけてきた。下手すると3人全員もあった。
上司に言っても、
「退職して暇で寂しいんだよ」
という感じでのほほんとしてる。
親しくもないジジィから頻繁に意味もなく連絡が来ることが嫌だというのを分かってもらえなかった。
まったりしている職場だったのが悪い方向で働いてしまっていた。
私たちのストレスはどんどん溜まり、毎週末三人で食事会をしてはSの悪口を言っていた。

162: 名無しさん@おーぷん 2015/01/21(水)20:55:28 ID:YrE
ある日曜日、友達と映画を見ているとSから着信。
マナーモードにしていたが、ぶーぶー音は響くので、電源を切った。
映画が終わって電源を入れると着信10件以上(Sはメールができない)。

ムカムカしながらかけなおすと
「俺を無視するとはお前はえらい新人だな」
怒りがたまっていたので
「何の御用件ですか?」
と聞くと
「なんや、俺は用事はないと電話したらいかんのか!
だいたい2時間以上電話に出ないとかお前は今何をしていたんだ!」


用事がないのに60代半ばが20代前半に電話かけるとかありえねーーだろ!

と思いつつ
「映画見てました、友達と一緒なので。もう切ります」
と答えると
「お前仕事さぼっとるんか!」
と怒鳴り出した。
はぁ?何言ってたんだこいつ、と思いつつ
「今日は日曜日ですけど」
と答えると、
向こうで息をのんだような気配がした。
「Sさんは毎日日曜日だから分からないかもしれませんね!」
と言って電話を切り、もう我慢ならん、着信拒否する!と。

しかしそれっきりSからの電話は無くなった。
私にもBやCにも。
突然のことに戸惑いつつ快適な職場ライフがやっと戻ってきた。

それからまた一年ほどしたとき、Sと同じく元警官の人がうちの上司とぼそぼそ話していた。
「Sさんこの一年でボケちゃって、施設に行くことになったって」
「Sさんが?」
「ひどいらしいんですよ。箪笥の中にう●こしまったりとかで、家族の方が限界だと。警官OBでお見舞金出すことになったんです」
という会話を聞いて耳を疑った、あの横暴を絵にかいたようなSが?って。
「そんなことあるんだねー」
と上司が言うと、その元警官の人が続けて
「奥さんが言うには、曜日の感覚が無くなったとかで酷く落ち込んでたらしいんですよ。
そっから坂を下るようにボケてったって。」


ドキっとした。
あれはボケの前兆だったのか、それとも日曜日と平日を間違えたことにショックを受けてぼけてったのか、どっちかは分からないけど、
なんとなく自分の言葉がSにとどめを刺したような気がして。

この職場は数年前に、役場から受けていた仕事が入札制になり、そして入札が取れず倒産(解散?)。
元社員が亡くなると訃報が回ってきたが、その時までSが亡くなったという連絡はなかった。
まだ生きてるのかもしれないな、とたまに思い出す。



バンドスコア/ピアノソロピース 日曜日よりの使者 ザ・ハイロウズ (バンド・スコア ピアノ・ソロ・ピース)
日曜日よりの使者